トマトの生育15、桃太郎ってやつは・・・・

桃太郎、裂果、規格外品
桃太郎、裂果、規格外品

暦の上ではもう秋・・・・

ちょっと風が乾いて、気温が下がってきました

 

上の写真は桃太郎サニー

六月後半頃の花の玉です

この頃は曇天、土壌からの過剰窒素と

花が悪かったですが、案の定、玉になってもコンディションが悪いです

 

今、採取出来るから、今の条件で玉が決まるかと言うとそうでも無く

やはり、花芽分化と着果したときの条件の方が影響するように思えます

これより3段上はコンディション良さそうです

 

裂果の原因はいろいろと、考えられ

東美濃では、遮光をしたり、灌水を夜中にしたりと、いろいろ試行錯誤を

していますが、実際はよく分かりません。

桃太郎は、初期の玉伸びが早く、一気にぐっと伸びます

そのとき、中身に対し皮の成長が追いつかないのが割れる原因です

 

水や窒素を一気に吸い上げ、カルシウムなどの成分が負けると

割れるように感じます

 

1年目、2年目は、ほとんど割れませんでした

3年目から、土壌からの過剰なアンモニアなどの窒素に、樹がやられるように

なってから、病気が発生し、裂果が猛烈に増え始めました

 

今年は、定植後の1、2段はきれいな玉でしたが、3から6段程度

定植後の影響を受ける段、7月はじめまでの曇天の段で、玉が悪くなりました

過剰窒素の押さえが出来た6から7段以降は花も良く、玉も良さそうです

 

このあたり、桃太郎は本当に反応が敏感で、土がしっかりと出来ていないと

良い玉は出荷出来ません、本当に作りにくい品種ですね。

シルバー頼んで下葉欠き
シルバー頼んで下葉欠き

第一回目の下葉欠き

自分では手が回らないので

シルバー人材に頼んで、下葉を欠いてもらいます

 

葉は、下の方から、枯れてくるので

採取している、玉の下、枝2本を残して取ってしまいます

 

こうする事で、風が入り、乾き、病気も防げるし

光合成には二酸化炭素が必要なので、空気の換気も良くする必要があります

地面も蒸散で乾くので、灌水も多くすることが出来て

土壌の換気にもなります

 

まあ、経費はかかりますが

下葉を欠いた方が、結果としては良いので、必ず行います。

 

 

桃太郎の様子

 

写真の通り、樹は元気ですが、玉着きは良くありません

窒素過多も過ぎましたが、花落ちも多く、玉が少ないから元気です

追肥も控え、あまり肥えないように調整します

 

1,2段は稼いでくれましたが・・・・今は無駄飯くらいです

桃太郎は、寒くても玉が伸びるので、後半に稼がせるため

調子が悪くても、手入れに手抜きはしません、

上段の玉に期待し、中間の分まで余分に着果させます

 

 

この~、稼げよ~、って言いながら、手入れします

ほうとうに、桃太郎サニー、嫌いになりかけてます

味は、甘くてジューシーですけどね・・・・・・

レイカの様子

 

写真の通り、樹も元気で、着果状態も良いです

 

桃太郎が、落花、裂果で傷んでいるところは

レイカは、少ないけど落花、小玉、銀粉果で調子は今ひとつです

銀粉果は、窒素過剰の時に出ます、グリーンバック玉も同じですが

今年は、グリーンバックは少なく、大量の銀粉果です

銀粉果はC品で出荷出来ます、今年は単価が安く、

A品とC品の価格差が小さいので、影響が少ないです

 

レイカは、窒素が強いと小玉になりやすいので、以外と収量が伸びませんが

それでも出荷出来るだけ、桃太郎よりましですね

 

それに、玉伸びがゆっくりしていて、最初は、桃太郎より小さく感じますが

出荷出来る頃になると、追いついてきます、この玉がゆっくり伸びるせいか

ほとんど裂果が出ませんし、空洞果も少なく

桃太郎に比べ、玉が重いのです

なので土壌、気象、条件が悪くなっても、製品率が圧倒的に良いです

ここは大事な所ですね・・・・

 

味はすっぱみが強く、ゼリーが少なく、ジューシーさは無いですが

糖度は桃太郎と同等で、赤くして採取する分、リコピンも多く

濃い味のトマトが好きな人には良いですが

ジューシーな甘さを求めるなら、おすすめしません。

今、ちょうど六月後半からの長期間にわたる曇天

そして、低気温の影響を受けたようで

選果場全体に出荷が少ないです

 

着果不良、空洞果などが多いようで

僕も、レイカが稼いでくれてますが、小玉も多く、

例年と比べて、今ひとつです

 

出荷量が少ないのに、単価も昨年より下がっています

なので、ちょっと厳しい状態が続いています

 

レイカと桃太郎はプールするので基本的に単価は同じですが

実際は、レイカはある程度契約の様な状態になっているので

相場が安いときは、

選果場としてもレイカのほうが高く売れていることも多いようです

トータルでは、東美濃中津選果場の場合

平均単価はレイカの方が少しだけ高いような状態です

 

桃太郎は作りにくく、製品率が低いのに、安い・・・・

桃太郎推進派は、レイカでは硬くて酸っぱくて不味い・・・・

あんなトマト売ってたら、ブランドの名前に傷が付く

トマト嫌いが増える・・・・絶対に桃太郎だ~

って言ってました、現に僕の地区では、一昨年までは

レイカは選択禁止でしたから

 

実際は、レイカの方が高く売れる

それに、製品率も良い

桃太郎が美味しい産地はレイカもやはり美味しいのです。

 

市場の担当者は、言います

特徴のある品種、商品は売りやすい

東美濃のトマトは、市場からわずか2時間という近さであり

輸送時間の短さなどから、高い品質で送る事が出来ます

超、辛口選果もあって、比較的高単価で取引されます

 

それも特徴の一つです

 

桃太郎が絶対みたいな事を言う古参の農家は多いです

でも商品の価値を決めるのは、買う人、お客さんです

 

1部の地域のように、同じタイプのタキイの桃太郎、サカタのリンカ409を

高原トマトのひとくくりで出荷し、出荷基準も、東美濃より緩い所もあります

単価は少し安いですが、それはそれで成り立ちます

 

生産性の悪い品種が、たとえ美味しくても、生産性と引き合う値段で

買ってもらえなければ、それをかぶるのは、農家です

 

商品ですからね・・・・

本来、ニーズに合わせ、生産原価に見合う金額で

取引してもらえるような、商品(トマト)を企画し

開発していく事を、しないといけない

いつも、桃太郎では、それを放棄している様な気がします

 

美味しいのは基本ですが、生産性と販売価格に見合う

商品開発と技術開発はこれからの産地に必要だと思いますけどね

 

 

 

 

消費税増税・・・・

これの賛否はさておき

増税されたら

市場は当然、スーパーから増税分の値引きを要求される・・・・

農家が買う資材費は当然値上げされる

農協はそんなに資材費を安くするような交渉はたぶんしない

 

なぜなら、今現在、僕が商社から見積もりを取って買う資材の方が安いから

 

市場価格を抑えられ、資材費は増税され、市場、農協の経費は固定され

結局、生産者である農家がすべてかぶる事になる

 

どの産業でも同じ、下請けが、増税をかぶるのです

 

そして、つぶれていく

 

さあ、どうする、・・・・

年金も払わなければならない俺たちには待ったなしだ

組合が手を打たないなら自己防衛しないと行けない

さあどうしよう・・・・

 

就農してから、常に考える、さあどうする?どうする?

 

今まで通り、知恵を絞り続けるだけ、絞って絞って、行動する

これを繰り返し、努力します。

 

ハナイチトマト・・・・買ってください!