トマトの生育、その5、気温と、玉のびと、農家の交流

花村トマト、桃太郎の様子
花村トマト、桃太郎の様子

桃太郎の様子

1段目も2段目も開花

生育は遅れている、玉になるのが遅い、そして伸びない

 

灌水は多め、生育は葉面散布で押さえている

土壌から出てくる。過剰のゴースト窒素を警戒し

かなり強めに押さえていたが、みどり君Nで計測してみたら

昨年の半分ほどで、冬に代掻きした効果が出ているように思える。

 

押さえたせいで生育も遅れがち

思ったより窒素も出ず、逆にカリが不足してしまったので

カリ液肥を投入、ついでに、窒素も三要素タイプで

少し追肥をして様子を見る

ここらで、ブレーキを踏みながらアクセルをふかす状態を

止める事にする、ブレーキを離し、アクセルをもっと踏む込む事にする。

 

幹はもっと太くても良い

果実は、1段目は最大5果の予定でつける

農協標準は3果に摘果するのだが、僕は5果以下で摘果する予定

 

石川トマト、桃太郎の様子
石川トマト、桃太郎の様子

石川農園

1段目の玉は花村トマトよりは良い

平均気温は、風の当たらない石川農園の方が

風の通り道の花村農園より少し高い 

それだけでも、生育速度に差があるのが見て取れる

暑い夏には有利になる条件が、寒いと不利になる

 

そして人数がいるので、管理も行き届いている

今年は低温を避けて遅植えを行っていることも影響している

わずかな差であるが、玉のびは早い

 

ここは、農協標準の灌水で、3,4日に一回、手灌水を行っている

基本的に3果で摘果するので、農協栽培のお手本的な栽培をしている

 

強く押さえてはいないが、土に窒素もほとんど無く

灌水を絞っているので、樹は堅くしまっている

 

生育の速度はやはり温度だ

今年は寒い

ここらは雨よけで、保温が効かないから

今年は弱い、これも将来に向けて、改良の余地がある

レイカの様子

特に問題は無い

強く押さえているが、灌水も多いので、樹が伸びようとする

力も強く、拮抗している

花芽から葉が出ている樹もあり

明らかに強樹勢である

ブレーキを踏みながら、アクセルをふかした状態なので

花芽が玉に変わったあたりで

そろそろ、ブレーキを離し、アクセルを踏み込む

 

昨年までは、ゴースト窒素が過剰に出現し

窒素過剰のカリ負けの状態になり、ブレーキとアクセルの状態が

分からなくなって苦労した

窒素ばかり勝っても、他の物が吸収できなくなり

樹が細くなることがあると初めて知った

5要素をバランスよく吸収し、窒素を増やして初めて樹が太くなる

そんな感じだった

 

今年は、窒素が過剰に出ないので、コントロール出来そうな気がする。

桃太郎、1段目
桃太郎、1段目

桃太郎の花芽

いつもながら、桃太郎は土の肥料に敏感だ

今年は少ない訳なのに、何となく花が弱い

桃太郎、1段目
桃太郎、1段目

樹によっては、第1花が飛んだ物もある

窒素勝ちになれば、花が飛んでしまう

土壌の水分にも反応が早い

それに玉のびも悪い

レイカ、1段目
レイカ、1段目

比べてしまうと

レイカの方が花が大きく安定している

花落ちも見られない

レイカは土壌の肥料に対し鈍感である

水分にも鈍感で、正直、作りやすい

初期の玉のびも良い

レイカ、1段目
レイカ、1段目

花が大きく安定しているのは大事だ

実際、王者桃太郎もじわじわとシェアを落としている

当産地も、一昨年まではレイカの作付けは出来なかった

前組合長が、桃太郎主義者で俺の目の黒いうちはレイカは

入れさせん!とがんばっていたからだ。

組合長が交代し、新組合長もレイカはあまり好ましくないとは

言うけど、同じ選果場でレイカが自由に作付けできる組合と

禁止の組合があるのはおかしいとの事で、許可が出た

ただし、あまり広がらないように情報が出てこない

生産者をなんだと思っているのだろうか、農家の敵は組合役員農家?

市場の要望に桃太郎があるのは分かる、しかしレイカに比べ高いわけでは無い

生産性に劣る品種を強制されるのは、拒否する

両方作ってみるとよく分かる、レイカの方が生産が安定している

味はともかく、収入になる方を選ぶのは当然だ。

 

美味しいかどうかは、品種ばかりでは無い

作り方、収穫から店頭に並ぶまでの時間

そして、!  

桃太郎にこだわって、収入が減るのは、ごめんだ

産地として美味しいトマトの栽培方法を研究しているわけでは無い

レイカは美味しくないからだめだって

決めるのは消費者だよ、俺たちじゃ無い

だから僕は個人で美味しいトマトの栽培方法を模索している

品種を超えて、美味しいトマト栽培方法を考えて

自分ブランドで売って、試してみたい

消費者の求める品種のパフォーマンスを、最大限に引き出すのも

プロ農家としての技術じゃ無いでしょうか

桃太郎なら美味しいより、ハナイチトマトなら美味しいと言われたい

だから共同出荷といえども、最高のレイカ、桃太郎をおくりだす努力をします

まあ、口だけかもしれませんけどね

結果は食べてのお楽しみ・・・・

先日、近隣の津具村のトマト生産者が

ホームページを見たと言って、訪ねてきた

トマト農家は歓迎だ、生産者は情報源が少ないから

このつながりは大切である

中には、堆肥が危ないよって言ったら、絶交された、トマト農家もいたけど

それでも、情報は大切だ、良いか悪いかは自分で決めれば良い事だからね

 

津具は東美濃より生産性の高い産地らしい

収量も高いし、ハウスの構造も違う

桃太郎とりんかを一緒に出荷しているのも、おもしろい

異品種を一緒に出荷すると、評価は下がるので、僕は好きでは無いですが

生産性の高さに興味を引かれる

それに、畜産糞尿由来の堆肥、バーク堆肥を使っていない点も

僕の技術ベースの壺にはまった情報だった

良いところは学んで、取り入れれば良い

悪いと思えることは、なぜ悪いか検証すれば自分の技術になる

交流することに損は無い

 

それに、雨よけハウスで保温が弱いのも、生産性の低さでは

と指摘された、確かに今年は異常に寒い

夜間に保温できたハウスの方が生育は遙かに良い

この産地は昼夜の温度差が売りの産地だけど

今年のような寒さは打撃になる

これをフォローする設備の導入は確かに必要だと思う

 

交流すると

こちらの技術も漏れるが、そういうことを言っていたら伸びないよーだ

篤農家と言われる名人は、技術を自家薬籠中にして出さない

僕の就農当時でも、名人が新規に教える構図は無かった

情報は出さなければ、もらえない、集まらない

僕は、出さない人とはつきあわないし

僕も、出せる範囲で出しています

信頼できる農家の友達を作り、情報の和を広げていく事は

大切だと思います

 

こんな関係が増えれば良いと思い、FBやホームページを始めたのですから。

息子、お手伝い
息子、お手伝い

息子が手伝ってくれます

もちろんただではありません

PSPがほしいと言ったので、仕事を手伝ったら、バイト料を払うと言ったら

まあ、手伝う手伝う

家の家事は、もちろんただで手伝うのが当たり前

だけど、家業までただでやらせたら、仕事が嫌いになってしまう

僕がそうだったもの、手伝っても小遣いもくれない

それで、後を継げって言うのです、やるわけ無い

僕は

働く事は楽しいよって言います、お金も手に入る

勉強も必要です、働くために勉強は必要

学校ばかりでは無く、ずっと勉強しながら、働く

勉強するのは、より楽しく働くため

トマト農家だって、楽しく稼ぐには、勉強しないといけない

そう教えています

 

勉強するのは、より楽しく生きるため

より、楽しく働くため

 

そう子供達に、伝えるように、親として努力しています

トマトは別にお父さんが好きで始めたことだから、子供達にも

継がなくても良いよって言います

親が楽しそうに働き、もうけていたら、自然に誰かが継ぎます

だから、儲けることは大事、楽しそうに働く事はもっと大事

そう考えています。

 

石川農園の故石川哲也が残した言葉

食べることと同じくらい、遊ぶことは大切

僕もまねして

働く事は楽しい、儲かることはもっと楽しい!

うーん、もうちょっとひねろうかな・・・・